請求額を85%削減成功した80万円の解決金で調停成立

事案
都内でエスニック料理店を経営するY社は,調理担当として経験者Xを採用していた。ところが,Xは気性が荒く,顧客や他の従業員と度々トラブルを起こしていた。ある日,Xは体調が悪い出勤しなくなった。Xは私物を全てY社の店舗から引き上げていたので退職したものとして取り扱った。しかし,Xは,時間外・深夜・休日労働により長時間労働を強いられたとして,残業代・深夜・休日手当として合計約300万円に加え,長時間労働により体調が悪くなったことを理由とする慰謝料請求300万円を請求する労働審判を提起した。
結論
80万円の解決金にて調停成立請求額を85%削減成功
この事案のポイント
- Xは,時間外・深夜・休日労働により長時間労働を強いられたとして合計約300万円の残業代を要求していた。しかし,実際の勤務実態としては,時には残業をしていたこともあったが,長時間残業が常態化している事実は皆無であった。また,Xの主張を裏付けるタイムカードすらも存在しなかった。
- Y社は,Xが殆ど残業をしていなかった事実を営業時間や業務実態から具体的に証明した。また,Xの退職に至る経緯から体調不良により勤務が出来なくなったという事実も存在しないことを明らかにした。さらに,Y社がXに対して金銭の貸し付けを行っていたので,仮に残業代が発生していたとしても貸付金と事実上相殺することによってY社の支払義務は殆どないことを主張した。
- その結果,労働審判員は,長時間労働の事実は無いことを認定し,Y社のXに対する貸付金と調整的に相殺した上でXの請求金額を遙かに下回る金額による解決を調停案として提示した。
依頼者の声
労働審判の前にXは労働基準監督署へ通告した為,店舗に調査が入るなどして一時は閉店も考えました。しかし,労働審判で会社の主張が大部分で認められる判定を頂き安心いたしました。残業代の未払いがあったことは事実ですので,そこは素直に反省し,今後は改善に努めたいと思います。どうもありがとうございました。