請求額を75%削減成功した100万円の解決金で調停成立

事案
新卒で採用した社員(男女4名)が,入社2年も待たずに退職しました。当社は手作業による革製品のメーカーであり,クラフトマンシップに基づいて厳しい指導を行い,また,希望する者にはアーティストとしての素養も伸ばすべく指導をしてきました。ところが,退職した従業員らは,全て労働時間であったなどと主張し,4名で合計約400万円にも上る残業代を請求する労働審判を提起してきた。
結論
100万円の解決金にて調停成立請求額を75%削減成功
この事案のポイント
- 労働者側は,合計約400万円の金銭を要求していた。しかし,タイムカード等労働時間を証明する証拠は一切提出できなかった。但し,業務終了後の報告メールの一斉送信時間をもって終業時間であるなどと主張し,メールを証拠として提出した。
- 会社側は,労働者が残業をしていなかった実態を示す業務日報,作業進捗表等の証拠を積み上げ,残業代が発生していないことを積極的に主張立証した。また,業務報告メールの送信時間と終業時間は異なることも立証した。
- 労働審判委員会は,一定の残業代は発生したのではないかとの心証を持ちつつも,労働者の証明不足は否めないとして,最終的な解決金額は,労働者の請求額を大幅に下回る金額を調停案として提案した。
- 会社側は,労働者側の請求金額を大きく下回る労働審判委員会の提案を受け入れ,早期解決を優先して解決した。
依頼者の声
さんざん目をかけて育てた社員に訴えられるというのは非常につらい思いがあります。クラフトマンとしての厳しくも優しく指導してきたつもりでした。ただ,そのような感慨はもはや通用しないのかもしれません。今後は二度とこのような事態にならないよう,改めて労務管理体制を厳しく見直したいと思います。結果については,労働者の請求の大部分を退けるものであり大変満足しています。これからも中小企業を救う為に頑張ってください。