労働審判

業種:不動産会社

請求額を87%削減成功した75万円の解決金で調停成立

不動産会社

事案

東京都杉並区で長年不動産業を営むY社の経理担当としてXは中途採用された。Xは仕事が遅く不必要な残業が多かったが,Y社では固定残業代を支給していた。ところが,Xは採用後1年程で体調不良を訴えるようになり,ついには頸椎に重大な病状があると訴えるようになった。そこで,Y社はこれ以上Xを雇用し続けることは困難であると考え退職金制度な無かったもののXの生活に配慮して賃金の上乗せ等を条件として退職勧奨を行った。Xは条件について応ずるかのような言動を行い,以後出勤することは無かった。しかし,程なくしてXは弁護士を通じて不当解雇及び残業代支払を主張し内容証明郵便をY社へ送付した。Y社はXの請求に応じられないと返答したところ,不当解雇による慰謝料(300万円),残業代(180万円)を求めて労働審判を提起した。

結論

75万円の解決金にて調停成立請求額を87%削減成功

この事案のポイント

  • Xは,不当解雇されたことを理由とする慰謝料及び残業代の未払いがあるとして残業代の支払いを請求してきた。しかし,Y社は解雇したのは事実であったが,その後の弁護士指導による適切な対応により不当解雇による損害賠償を請求されるいわれはない状況にあった。また,Y社は基本給とは明確に分けて固定残業代を支給していたので,仮に残業代の未払いがあったとしてもその額は僅かなものであった。
  • Y社は,解雇による賃金請求や地位確認請求は出来ないことを主張した。また,固定残業代の有効性についても理論的及び裁判例の裏付けをもって主張を行い,また,雇用契約書等による立証を尽くした。
  • その結果,労働審判委員会は,解雇による損害賠償請求は認められないこと,残業代については固定残業代の支払いを有効であるとの心証を開示しつつ,固定残業代控除後の残額を解決金として支払うことによる調停案を示した。
  • Y社は労働者側の請求金額を大きく下回る労働審判委員会の提案を受け入れ,早期解決を優先して解決した。

依頼者の声

今回はご対応ありがとうございました。不当解雇と残業代という2つの高額な請求を受けて不安で仕方がありませんでした。一時は仕事にも支障が出ておりました。Xの代理人弁護士より内容証明が送りつけられたタイミングで依頼をさせて頂き,適切な対応をして頂いたお陰で,最終的には当社の意向に沿った解決を受けることができました。また,何よりも早い段階で依頼させて頂き,紛争の見通しや採るべき対応策を分かりやすく助言していただいたことで,心理的にとても安心感を得ることができました。この点が何よりも大きかったです。今後も何かありましたら相談させて頂ければと思います。