訴訟案件

業種:電気設備工事会社

請求額の約70%の約60万円の解決金にて合意成立

電気設備工事会社

事案

電気通信設備の工事会社の工事担当として雇用していた男性社員がいた。当該社員は,ベテランの工事作業員であった為,会社は工事の開始終了時間や直行直帰などについて大幅な裁量を与えていた。ある日通勤途中の交通事故により怪我をし,休業の後に退職した。ところが,退職日の直前となり代理人を通じて残業代を請求する通知書(内容証明郵便)を出した後,合計約200万円の残業代等の支払いを求めて訴訟を提起した。

結論

約60万円の解決金にて合意成立請求額の約70%に削減成功

この事案のポイント

  • 労働者側は,自ら作成していた日報に基づいて残業代を請求してきた。
  • 会社側は,①工事日報に記載された時間は実際の労働時間とは整合しないこと,②代休を取得していたにも関わらずその分まで残業代として請求することは二重請求となること,③一部残業代を支払っていたこと等を主張して争った。
  • ①については,労働者が提出した領収書に記載された時間(買い物の時間,駐車場の入出庫時間等)と日報の記載が矛盾することの立証により労働者の主張の信憑性を崩した。また,②,③についても争いのない状態とした。
  • その結果,裁判所の心証としては,労働者の主張を全面的に認めることはできず,日報に記載された時間の一部についてのみ残業が認められるとの心証を開示した。その上で和解の勧告を行った。
  • 会社としては,早期解決を重視して,裁判所の和解案に応じて解決を図った。

依頼者の声

ありがとうございました。無事に解決して安堵しております。
当社ではタイムカード等で労働時間管理をしていなかった落ち度はあったのですが,適当な時間が書かれた日報に基づいた残業代には到底応じられないと考えておりました。粘り強く証拠を精査し,日報の時間が正しくないことを証明していただき,当社としても了承できる範囲の残業代に収まる解決となりました。この経験を下に今後は当社内の体制も改めて参りたいと思います。今後ともご指導をよろしくお願いします。